校長ブログ

2018年5月7日(月)

 先生方の発案で始まり、これまで学年単位で取り組んできた「クエストエデュケーション」(実社会と連動しながら生きる力を育む学習プログラム)ですが、「学校教育を学校内に閉じずに、その目指すところを社会と共有・連携しながら実現させる」(「社会に開かれた教育課程」)という次期学習指導要領の理念と一致することに加えて、企業から出されたミッションに対して協働して考え、発表する「クエストカップ」における2年連続全国大会出場という一定の成果も鑑み、今年からは学校全体で推進、年間計画に組み込むことにしました。

 運営委員会では、先生方の熱意によるボトム・アップによる企画・実施は、何よりも尊く、効果が出たものについては"チーム初富"であらゆる角度からバック・アップし、中高六ヵ年一貫教育の目的達成に寄与したい旨、お伝えしました。また、今後、新企画は積極的に提案していただき、成果の確認等の検証を行い、生徒の成長に有益と考えられるものはシラバス化し、私学の独自性構築の一助とすることも申し上げました。

 昨年の中2は、担任団や探求学習の中心となっている先生方が各自で教材を探し、様々な取り組みにチャレンジされてきたようですが、今年の中2からは妥当性、客観性、信頼性を考慮し、統一教材を選定、新設の研究開発部の支援体制も整え、5月2日からスタートを切りました。

 教材は、『ENAGEED vol.1 AI・ロボットに奪われない力』で、テーマは「私たちの可能性」。導入部では、世の中には"3つの力"、則ち、「気づく力」「発案する力」「実現する力」によって様々なことが実現されていることを再確認しました。身の回りの多くのものは課題から生まれるという事実に目を向けようとする生徒たちの真剣な眼差しは印象的でした。これは背景知識を強化して、論理的思考力を高め、課題発見・解決力を涵養することを標榜する次期学習指導要領とも合致します。

ENAGEED テキスト写真.jpg TED ボイヤン・スラット 和訳.jpg

2018年05月02日14時35分52秒.jpg TEDスピーチを視聴する生徒.jpg

 教材配列は、背景知識となる言語材料をEpisodeとしています。1つ目のエピソードは、本田技研工業の創業者である本田宗一郎氏(1906~91)が、苦労して買い出しをしていた妻の自転車にエンジンをつけたら楽になると思い、それがきっかけでオートバイ研究を始め、ひいては世界有数の自動車や二輪メーカーにつながっていくというもの。

 2つ目は、アフリカ女性は、生活用水を入れた壺を頭の上に乗せて運ぶため、首や背骨を悪くすることが多くなるという実情をふまえ、ピエト・ヘンドリクス氏(Piet Hendrikse)が水を運ぶ道具である「Qドラム」を発明して役立ったというもの。「Qドラム」は真ん中に穴のある大きな円形の容器で、古くなった衣類、ロープなどでも簡単に引っ張ることができます。あまりに単純な解決策ですが、日頃、当たり前と思っていたことにも目を向ければ現状をよりよくするためのヒントが隠されているというメッセージを読み取ることができます。

 3つ目は、発展途上国で冷蔵庫を持たない農家の人々にとって、野菜がすぐに腐ってしまうという問題があり、それに対して、大きな壺の中に小さな壺を入れ、その間に砂と水を入れた状態にすると、水が蒸発する時に熱も逃げることになり、野菜を21日間も保存できるようになるというもの。人間の知恵ですね。

 4つ目は、海洋生物や鳥がゴミを餌と間違えて食べると死ぬという負の連鎖に対して、ボイヤン・スラット(Boyan Slat、1994~)のアイデアが太平洋を救うというもの。彼は海洋のプラスティック汚染問題に興味を持ち、16歳の頃から研究を始めます。2012年、オランダでの環境保護対策に関するプレゼンテーションが動画配信され、全世界で称賛、資金が集まり、プロジェクトは進行中とのことですが、授業では、英語による彼のプレゼンテーションが流されました。日本語訳も配布されましたが、多くの生徒が懸命に英語を聴き取ろうとしていました。授業後、「校長先生は英語の先生でしょ。どうしたら英語が聞けて、話せるようになるのですか?私も英語でコミュニケーションしたいです」と声をかけてくれた生徒がいました。英語科の先生方はやりがいがありますね。

 「大学入学共通テスト」では、思考力、判断力、表現力を駆使して解くことが求められており、具体的には、授業における学習活動の過程、日常生活や社会生活の中から課題を発見して解決していく過程、初見の資料やデータを参考に思考する過程を組み合わせた出題が想定されています。(試行調査の数学Ⅱ・Bがその好例)これまで紹介した中2、中3、高1の探求学習は、その基盤をつくるものです。
 今後の成り行きを見守っていきましょう。

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