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校長ブログ

2018年06月30日(土) 大学入試:多読

 大学入試の英文読解問題の素材をみると、難解な文章は減少してきたとはいうものの、英文量は増加し、長文化の傾向はますます顕著になってきています。生徒からは「時間が足りなかった」「もっと多く活字に触れておけばよかった」という感想が多く聞かれます。そこで、速読、多読が重要という発想になるのですが、今回は多読について考えてみます。(速読については、校長ブログ5.22

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 多読とは、文構造の理解に軸を置く読み方ではなく、読者の語彙サイズ(語彙力のこと)に応じたテキストを多く読破し、その内容理解に重点を置く読み方のことです。(Krashen[1985]によるインプット仮説が提唱されて以来、「読みの視点」も変容しつつあり、多読指導の重要性が説かれています。平井「英文多読指導の実践」研究と指導Argument2004、旺文社)

 多読指導の目標は、生徒が英語を「読む」という行為に自信をもち、動機づけがなされているだけでなく、興味・関心に応じて各自がテキストを選択し、適切な速度で読むことができるようになることです。ガイドラインとしては、個々の生徒が記憶の中からその単語の意味と音声表示を呼び起こす能力(自動的な語彙アクセス)に習熟し、和訳しなくても楽しみながら読むことができ、意味のかたまり(sense group)ごとに読める、パラグラフ間のつながり(結束性:cohesion)を把握することができるようになること等が挙げられます。以下に、実践例を紹介します。

■ 前段階

「精読」中心の授業では、年間を通じて読書量に限界がある。多読時間の確保に向けて、ロング・ホーム・ルームや放課後などの一部を多読のための時間として設定し、徐々に「ひとりで読む」よう方向づける。

生徒の興味・関心に留意し、様々なジャンルのテキストを準備するよう心掛ける。生徒が選ぶであろうと予想されるテキストが個々の言語能力内にある平易なものであることを原則とし、辞書なしで読み進めることができるものを配置する。最近は、ワード数が明記されているものが多いので、個々の習熟度や学年別に到達語彙レベルを決めておく。

■ 多読指導

「読む」という行為には、情報を得るという目的があることを再認識させておきたい。どの目的で読むかは、個々の目標によって異なり、そのためには様々なトピックのテキストを利用しなければならないということをオリエンテーションしておく。

多読は黙読が原則。また、テキストにおける語彙・文法・構文なども読者の言語能力で処理可能な平易なレベルであるから読むスピードも速くなる。制約された時間の枠組みの中で恣意的に読むのではなく、各自のペースに応じて、自発的かつ積極的に行うものでありたい。

興味・関心及び語彙サイズに応じて、生徒自らがテキストを選び、自由な視点で、楽しみながら読めるよう指導する。「最後まで忍耐強く読破する」という考え方は捨て、数ページ読み始めて理解できないとか、内容的に面白くないと思えば、別のテキストに変えることも必要である。

■ 教師の役割

多読指導における教師の役割は、one of the readersであり、本を読むということの意義、メリットを示すことができるsupporterである。つまり、教師と生徒の関係をタテからヨコにシフトすることが大切。また、多読を継続している生徒の場合、読書量が増えるに従って、読解力が向上するということを事例研究から科学的に明示しておくと相乗効果が期待できる。

多読を推進する以上、その目標を方向づけし、生徒が読んでいるものに細心の注意を払い、背景知識を補強できるような助言をするのが理想である。ただし、「読まされている」という受動的な姿勢にならないように、十分なコミュニケーションを取りたい。例えば、休み時間や掃除の合間に、現在、どんな本を読んでいるか、どのような点が面白いか、またストーリーはどのようなものかといった対話は効果的である。読書に興味を示さない生徒に対しても、今、何に興味があるか、もっと深く知るためにはどのような本がよいか提示してやる等の配慮も必要である。

「自発的に読む」という行為が根底にあるため、確認テストは避け、レポート等を通して、学習履歴を積み重ねることを基本とする。プレゼンテーションの場面も設け、ディベートに発展させたり、教室の後ろや廊下など、他の生徒の目に触れるところにポートフォリオを作り、成果とすることによって自信をつけさせる。また、読破したことに対して一言褒めつつ、あまり負担にならないような質問、例えば、「今、読んでいる本を友達に薦めると仮定して、自分の気に入ったところや印象に残った表現を簡単に紹介してください」「批評家になったつもりで、今、読んでいる本のよいと思うところ、悪いと思うところを批評してください」等を与えると関連する領域につなぐステップになる。
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