学校生活

【はつとんWeekly】 校長室より(10)

「違い」

 アメリカ・ロサンゼルスへの中3修学旅行に同行しました。若い時に初富から行って以来、25年ぶりのアメリカでした。当時は今ほど4技能が叫ばれる時代ではなかったのですが、異文化体験だけでなく、現地での英語の授業やホームステイなど当時としては先進的な取り組みだったと思います。
 昔行った時、アメリカの土地の大きさ、プラスチック容器の豪快な使い方、車の量、道の幅、車の運転や駐車の仕方、感情豊かな表現、トイレの便器の高さ、ショッピングモールの広さ、色の大胆な使い方、洗練されたデザインの数々など、多くのことに驚き、生徒に負けず劣らず影響されました。帰ってきてからも、なんとなく車の運転一つとってもアメリカナイズされている自分がいて、今思い起こすと恥ずかしい気持ちになります。

 今回行っている最中に感じたのは、日本のことが中心でした。自分自身が歳を重ねたせいか、日本がこの25年頑張ってきたのか、とにかく日本が丁寧に物事を作ってきている気がしました。
 その表れととらえてよいかどうかわかりませんが、日本車が25年前より格段に増えています。もちろん、最近話題のテスラもたくさん見かけましたが、ここがアメリカなのかわからないぐらいに日本車が走っています。車検のないアメリカでは、丁寧に作られて故障の少ない日本車の人気が高いようです。他にも、ホテルの様々な仕様、トイレ事態とその清掃、ショッピングセンターの導線、車の運転の仕方や交通マナーなども驚くほど日本の方が機能的で、美しく、安全な気がしました。

  ただ、帰国していろいろ考えていたのですが、行きつくところどちらがどうか、という見方は間違えているのだと思いました。民族性、文化の違い、歴史の違いなどが大きく影響しているのですから、違いが当然で、進んでいる遅れている、良し悪し、優劣などは、一概に判断の下せるものではないのです。

 生徒は、今回の英語学習の最終日に自分のことや比較文化についてプレゼンをしました。前に立って英語で話さなければならず、個々人の能力に応じた内容ですが、よく頑張ったなぁと思いました。
 プレゼンに関してはここ10年、日本では力の入れていることの一つだと思います。そして、やはり「海外の人に比べて・・・」とよく言われることでもあります。

漱石が、
 言ふ者は知らず、知るものは言はず。余慶な不慥の事を蝶々するほど、見苦しき事なし。
いはんや毒舌をや。何事も控え目にせよ。奥床しくせよ。むやみに遠慮せよとにはあらず、一言も時としては千金の価値あり。万巻の書もくだらぬ事ばかりならば糞紙に等し。

という文を『愚見数則』に書いています。
語るという事一つとっても底流に流れているものの考え方は、日米で大きく違いうのだと思います。

 違いをどのように見るのか。今回のアメリカ行きは、異文化を理解するということの意味を見直す良い機会になりました。

 さて、話は変わりますが、年度末です。今年度の『はつとんWeekly』はこの回で終了です。また次年度もHP上で学校の様子や、先生方が日頃考えていること、私自身の考えなどを堅苦しいものにならないように気を付けながら載せていきたいと思っています。次年度もどうぞよろしくお願いいたします。

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