学校生活

【はつとんWeeKly】校長室より①   関係

 2023年度が始まりました。今年度も、はつとんWeeklyでは、私、教頭、主幹、教科、事務などさまざまな視点から、初富での日々を味わっていただける記事を掲載していこうと思っています。私に限っては、少し私のものの考え方が中心になるかもしれませんが。

新型コロナの重症者数が減り、規制が少しずつ緩んできて、5月には感染症法の第5類になる予定です。やっと教育活動もいろいろな挑戦ができるようになります。もちろん、油断は禁物、今まで丁寧にしてきた感染症対策をすべて投げ捨てるというようなことはせず、場面場面での判断をしっかりしていかなければと思っています。

お探しものは図書館まで.jpg

 さて、先日『お探し物は図書室まで』という本を読みました。短編集ですが、それぞれの話がつながっていて、全体で一つの作品になっています。人と人との関係や自分の存在意など、人生の岐路に立った人物たちが、コミュニティハウスの横に設置されている図書室で思わぬ本を紹介され、そのことがきっかけで自分を見つめ、自分のこれからを見つけていくといった内容です。その図書室のレファレンスコーナーで本を紹介する司書の「小町さゆり」が物語の鍵を握る人物ですが、人生の悩みをもった人たちに本を紹介する時に、「付録」と言って、その人に合うと思われる手製の羊毛フェルトを渡します。その羊毛フェルトがその人の心の変化にかかわるのですが、なぜその人に合わせた羊毛フェルトをわたせるのか?

 

 我々はよく、これは意味がないからしても仕方がないと考えたり、これには価値がないと判断したりします。もちろん、理不尽な状況もあったりして意味や価値を見出せないこともあるのですが、こんな風に思うのは基本的に意味や価値は与えられるものという前提がどこかにあるからとも思えます。しかし、本当に人生を豊かにするためには、きっと目の前のことを自ら意味あるものにしたり、目の前のことの中に価値を見いだせたりしないといけないのだと思います。人から与えられた物ですら自分に意味のあるものとなる、そういうかかわりが身の回りに起こる日々の生活を変化させます。世の中の見え方を変えます。

 どんなものにでも意味や価値を見いだせるようにするには、 "関係"を大切に過ごしていく必要があるように思います。人と人との関係、人と物との関係、人と社会との関係、人と過去との関係など自分を作っている関係は多種多様です。関係を大切にすることで、ものごとから意味や価値を掬いあげられるなら、自分の築いてきた関係は、自分を大きく包み込んで、自分を支えてくれるはずです。

 新型コロナは、関係というものにも大きな影響を与えました。それは、孤立や孤独を生み出しましたが、一方で、世界はつながっている、人は関係の中で生きていることを鮮明にあぶりだしもしました。日々を大切に、関係を大切に過ごしていきたいものです。

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