学校生活

【はつとんWeekly】(校長室より②)

ミスは悪くない

先日、古武道の演武会を観る機会がありました。

古武道とは明治維新以前に成立した武芸で技術化・体系化された剣術、柔術、槍術、弓術、砲術などを言います。明治時代以降、武道という総称が確立しましたが、現代武道と言われるものは、体育的見地からの心身の鍛錬を目的とし、スポーツ系統の競技試合を重視しているものが多く、柔道、剣道などがそれにあたります。

宮本武蔵.jpgその古武道の演武会で、二刀を使う演武をされた流派がありました。その流派を代表する方の演武だったのですが、よく観ていると最後にあるミスをされました。二刀とは太刀と小太刀を両方使うのですが、小太刀を納刀するときに、太刀の鞘に小太刀を納刀してしまい、太刀を納刀できない状況を起こされたのです。その演武者は、その時、ふわりと小太刀をもう一度抜き、小太刀用の鞘に納刀しなおし、その後、何事もなかったかのように太刀を無事納刀されました。普通であれば間違いなく焦ると思うのですが、その方は悠然と対応され演武を終えられました。

演武は、その流派の技や心を表現する形態の一つです。ミスは表現としては失敗ということなると思うのですが、本来的にそういうことはありうることなのだと思います

昔の武士が、同じようなミスをしなかったかと言えば、やはりした人もいると思うのです。もちろん、納刀のミスが、戦いの場面で、隙になり、命取りになるかもしれません。しかし、どんなに修練を積み重ねても、100%ミスをしないということは無いと思うのです。

ミスをしてしまったとき、そのことから何を学ぶのかはとても大切だと思います。そのことは、成長につながることだからです。しかし、ある高みに達している人でも同じようなミスに遭遇してしまうものです。その時、その人が一般の人と大きく違うところは、落ち着きを持って瞬時にミスに対応できるということだと思うのです。

ミスのないものの美しさはもちろん尊いものですが、ミスへの柔らかな対応はその人の自由な心身を感じ、また別の美しさがあると思います。

我々も、日々どうしてもしてしまうミスから多くのことを学び、自由な心身を得ることにつながればいいなと思いました。

よいものを観させてもらった日でした。

最新トピックスへ
お知らせ
変わるはつとんCHANGE 詳しくはこちら