学校生活

はつとんweekly④(校長室より)

伝える

意見を求められたとき、相談をされたとき、発表をしなければならないときなど、我々は、本当に言いたいことや、相手に伝えたいことを強化するために、さまざまな例を引き合いに出したり、論理的に筋が通るように文を考えたり、ポイントを提示する順番を検討したりします。そのようにして創り上げられた文には説得力があり、相手を納得させることにつながる可能性が高いのですが、一方でくどい印象を与えたり、誘導している雰囲気になったり、単純なことを複雑に伝えていることになったりもします。

本当に、伝えたいことは何なのか、

どういう言葉で伝えるべきなのか、

の前に、伝える先には相手がいるということを考えなければいけないのだと思います。

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今、プレゼンテーション能力やコミュニケーション能力の大切さを様々な場面で耳にします。そして、教育の場でもインプットの時代からアウトプットの時代へ移行しようとしてい

ます。一方で、生成的AIのように、学習能力だけでなく新規性のあるものを創り出せるものまで出現してきており、伝えるべきものを人が考えない世界がくるかもし

れません。語るべきものを持って

いる者が、相手の気持ちを考えて伝わる方法で語る必要があることが大切であることを認識しつつ、そのことですら機械に取って代わられる可能性も出てきていると

いうことです。

漱石が次のような言葉を残しています。「言う者は知らず、知るものは言はず。余慶な不慥の事を喋々するほど、見苦しき事なし。いはんや毒舌をや。何事も控え目にせよ。奥

しくせよ。むやみに遠慮せよとにはあらず、一言も時として千金の価値あり。万巻の書もくだらぬことばかりならば糞紙に等し。」

時代の流れで大切にされていく事柄は変化をします。しかし、物事の理解と表現を考える時、漱石の文には大いに反省させられます。「千金の価値ある一言」を発することのできる人

になりたいものです。

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