学校生活

はつとんweekly(校長室より⑦)

年の終わりに

 毎年、2学期の終業式前に、中学で百人一首大会が行われます。12月19日の午前中と20日の2時間で予選をし、勝ち抜いた4人で準決勝を行い、最終2人で決勝を行います。準決勝と決勝は源平戦で行い、他の生徒は観覧をします。対戦している手元の様子を前方スクリーンに映すことで、手札の変化を観ることができます。

 いつも固唾をのんで対戦の様子を観覧し、一札取るたびに拍手がおこり、中学生全員が一体となる場が出来上がります。対戦者たちは、正座の静と札を取るときの動、始まりと終わりの丁寧な礼、対戦中の相手を尊重した札のやり取り、そして、何より真剣なまなざしで、なんとも美しい。

 初富では、何十年も大切に実施してきた伝統行事です。今年も素晴らしい大会となり、決勝では実力伯仲、本当に全員がのめり込むような一戦となりました。

 今年の大河ドラマは、紫式部を扱った『光る君へ』でした。昨年が徳川家康を扱い、その前が、北条義時、その前が明智光秀でしたので、戦いのない異色の作品と言われていました。しかし、政争、恋、愛、友情、美しい情景など、毎週45分という時間が短く感じる素晴らしいドラマとなりました。そして、最終回の大きく余韻を残すエンディングは、過去の大河ドラマでもなかった工夫がされていて、一年間制作に携わった人々に本当に感謝をしたいと思いました。

 その主人公、紫式部の歌、

めぐり逢ひて 見しやそれとも わかぬ間に

雲がくれにし 夜半の月かな

 

紫式部のライバル、清少納言の歌、

夜をこめて 鳥の空音は 謀るとも

よに逢坂の 関は許さじ

も百人一首には含まれています。

 ドラマで描かれていた二人の雰囲気を表している歌ですが、ドラマとは違い、こちらは約1000年も前の実在した人物が書き残したものです。百人一首を覚えることで、この1000年の時を超えて生徒たちは、彼女たちに出会います。まずは暗記から始まるのですが、その歌に込められた意味、思い、暮らし、情景などに触れることができるようになれば、たった31文字の言葉が入口となり、1000年前の世界が大きく開かれます。それはもしかすると人生を大きく揺さぶる出会いとなるかもしれません。

学校という日々の生活の中には、それほどに影響力のある事柄がたくさん秘められています。学校というものが、過去も、現在も、未来も大きく包むような場であることを認識し、来年も丁寧な教育をしていくことの大切さを心に思う日となりました。

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