学校案内

校長の挨拶

初芝富田林中学校高等学校 校長

安田 悦司

 はじめまして。
 この4月に初芝富田林中学校高等学校(通称:はつとん)の校長に就任しました安田悦司と申します。
  私は、27年前に初芝富田林に就職をし、8年間教員として初芝富田林で過ごしました。その後初芝高等学校(後に初芝立命館中学校高等学校に校名変更)に転勤となり、そこで18年間過ごしました。昨年初芝橋本に転勤になり、1年で初芝富田林に転勤という形で今に至ります。
 学園の3中高を回る形となりました。同じ学園ですが3中高ともに特色の違う学校で様々なことを学ぶことができました。その経験を活かして、初芝富田林をいい学校だなぁと思っていただけるように努力してまいります。
 さて、それでは初芝富田林はどんな学校であるべきなのでしょうか。
 少し世間の状況を見回してみたいと思います。
 現在、新型コロナウイルス感染症がまたもや蔓延しつつあります。この1年コロナに振り回されてきたにもかかわらずいまだ収束に向かっていません。でもこの間人々は何もしてこなかったわけではなく、感染リスクの下げ方を少しずつ理解し行動様式を大きく変えて過ごすことをしています。また、自分が気を付けることが自分だけでなく他人を守るという、思いやりというつながり方を世界中の人が心がけています。いわば個と全体は一つであるという感覚を思わぬ形で認識した状況です。
 しかし反面、アメリカやイギリス・フランス・日本などの民主主義国家と中国・ロシア・北朝鮮などの専制国家の分断、トランプ時代のアメリカやイギリスの自国第一主義、後をたたないさまざまな差別。世界が一つになって立ち向かわなければならない状況の中ですら加速しつつある分断の流れも現存します。
 我々はこの矛盾した状況の中で何を考え、どのように行動するべきなのでしょう。
 最近の教育で話題になる3つのキーワードについても考えてみます。
 1つ目はグローバル化です。
 世界は一つ、多様性を受けいれる社会を作ろう、国境を越えて人々がつながり平和な世の中を作ろう。教育はそういった理想に目を向けて様々な取り組みをしてきています。SDGsの見ているところも大きくは違いません。
 しかし、紛争は絶え間なく起こっています。そもそも歴史や文化や思想の違う多様性が共存できるのかという大きな問題もあります。市場経済拡大の問題や軋みも見え隠れします。
 ではわれわれはグローバル化において目を向けるべきことはなんなのでしょう。少なくとも英語を話せるようになればグローバル化社会で活躍できるということは幻想です。もちろん英語を話せることは強力なツールにはなるでしょうが。
 2つ目はAI社会の到来です。
 あらゆるものにAIが投入され我々の生活を便利で快適なものにしています。よくAIはものを考えないから人間を超えることはないという意見がありますが、本当にそうでしょうか。AIはあたかも考えたかのように、感じたかのように最適なものを提示します。それは喜怒哀楽という人独自のもののように思えるものまでもです。ではAIが人を超えるシンギュラリティはやはり来るのでしょうか。もし来るのならばその時人にできる事柄は残っているのでしょうか。
 どんなに技術革新がされても人にしかない大切なもの、人にしかできないことは何でしょうか。
 3つ目は情報です。
 コロナ禍で30年かかるICTが1年で前に進んだといわれます。1年前にオンライン会議やオンライでのライブ配信など学校現場にこれほどたくさん入ってくるとは思いもよりませんでした。ネット上のニュースも新聞などと違って刻一刻と変化していきます。YouTubeなどの情報通信メディアの利用も急加速しています。情報の取捨選択は非常に難しく、その難しさは情報操作をされやすいということにもつながります。そもそもこれから我々は情報をどのように使うべきなのでしょう。
 今あげてきた事柄はどの一つをとっても簡単に答えを出せるものはありません。しかしどの事柄にも自信をもって立ち向かっていくことのできる人を育てたい。そのために教育は何ができるのか。そして、この初芝富田林は何ができるのか。
 少し身近な話を考えてみます。
 全国的に大学入試において推薦を利用して入学する人が昨年度増えたようです。本校でもその傾向はありました。第1志望で、推薦されるに足る力が伴えばもちろん構わないのですが、コロナ禍で準備が間に合わないから、これぐらいの学校だったらまぁいいか、自分の力を低く見積もって第1志望と思い込む、どうせ受験では合格できないとあきらめる、などの理由はどうでしょう。どうしてもこの大学に行きたいから、なりふり構わずただひたすら勉強し、手の届かないと思っていた大学の合格を引き寄せる、というのではないということです。人生に大きな影響を与える選択であるというのにです。
 高校入試においても大学の附属校が人気の傾向が強い。もちろん附属型の特色教育に魅力を感じて高大連携教育を受けたいと積極的に選択するのは大変意味のあることだと思います。しかし、大学受験がないからという1点を見て決めることも多いようで、それが保護者によって選択されるならこれはもう残念すぎます。
 先ほどの世界情勢、最近の教育界のキーワード、進学における妥協や打算に対して、一つ言えることは、目の前のことだけをふわっとした雰囲気でとらえてはいけないということです。
 私は、こんな世の中だからこそ、本質を問い、本質を見極める力をつけて欲しい。それは広い視野と深い思考に支えられている必要があります。
 はつとんでそのような力を身に着け、自らの道を自らの力で切り開く人であってほしい。そしてこの困難な世の中を朗らかに乗り切っていけるたくましい人であってほしいと思っています。
 初芝富田林は、そういう人を育てる学校でありたいと思っています。

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