NEWS

校長メッセージ16 Be Unique for the future『海外大学進学』

 今朝、イギリスの名門大学マンチェスター大学に合格した、本校の高校3年生と懇談した。朝の早い時間に来てくれて、少しお話できた。

 なによりも、この選択をしたこと、そして、その実現に向けて努力したこと、ほんとうにほんとうにすごいね。まだまだ大変なことはあるだろうけど、それが力になるはず。この選択は本当に勇気のいるChallengeだね。

 高校3年生にはたくさんの選択肢があり、その実現に向けて努力する。ただ、大学に入ることだけが目的にはならないでほしい。どの大学に入ったのかが重要な時代は終わると感じる。たくさんの人とお話させていただくほど、この思いは強くなる。どんなときも、自分に必要なことを学べる力を持ち続けてほしい。

 今回合格したMくんは、中学3年で本校のプログラムでカナダに2週間、高校生になってカナダに中期留学をしたそうだ。その時、「本当に楽しかった」と語ってくれた。この楽しめる感じが、これまでの時代に育った自分とは違う感覚かな。世界というより地球は近くなっている。そして、自分の想いを語ってくれるその様子、とっても大人だなと。身振りが入っているところなんて、まさにグローバルな感じがした。そして、それを見守ると決めた保護者の方の決断はすごいなぁ。今日はMくんに、この先も連絡していきたいとお願いした。

 「かわいい子には旅をさせろ」とは言うけれど、海外への留学を実現することは本当に難しいことだと思う。でも、ずっとずっと保護者のもとにいられないのも事実であり、保護者の思い描くようにならないのは当然、きっと大人になるために必要なこと。

 ふと、思い出したことがある。平成31年4月の上野阡鶴子さんの東京大学入学式でのメッセージ(抜粋・引用)。

 

『あなた方を待ち受けているのは、これまでのセオリーが当てはまらない、予測不可能な未知の世界です。これまであなた方は正解のある知を求めてきました。これからあなた方を待っているのは、正解のない問いに満ちた世界です。学内に多様性がなぜ必要かと言えば、新しい価値とはシステムとシステムのあいだ、異文化が摩擦するところに生まれるからです。学内にとどまる必要はありません。東大には海外留学や国際交流、国内の地域課題の解決に関わる活動をサポートする仕組みもあります。未知を求めて、よその世界にも飛び出してください。異文化を怖れる必要はありません。人間が生きているところでなら、どこでも生きていけます。あなた方には、東大ブランドがまったく通用しない世界でも、どんな環境でも、どんな世界でも、たとえ難民になってでも、生きていける知を身につけてもらいたい。大学で学ぶ価値とは、すでにある知を身につけることではなく、これまで誰も見たことのない知を生み出すための知を身に付けることだと、わたしは確信しています。知を生み出す知を、メタ知識といいます。そのメタ知識を学生に身につけてもらうことこそが、大学の使命です。ようこそ、東京大学へ。』

 これは東京大学の入学者だけへのことばにはとどまらないだろう。

一覧に戻る