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【高1Gコース】 「初芝立命館高等学校グローバル特進コース1年生 法教育プログラム② 裁判傍聴」を実施

1012日(火)より,高1グローバル特進コースの生徒118名を対象にスタートした新たな学び「法教育プログラム」。前回の弁護士の皆さんによる「模擬裁判」の体験を受けて1026日(火),今度は実際の裁判所に出向いての「裁判傍聴」を実施しました。

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実施日前日の合同HRでは,裁判傍聴に際して事前に,裁判所の館内および法廷内は撮影が禁止されていること,スマートフォンなどの操作も禁止されていること,私語などは絶対に慎むことなどの注意点を確認しました。法廷にパソコンを持ち込んでの記録は許可されているため,予め生徒たちのパソコンへワークシートを配信し,傍聴をしながら公判の記録やメモを入力するようにしました。

 当日は,1・2限の授業終了後,昼食をとり6~7人のグループ単位で直接,大阪高等裁判所・大阪地方裁判所に向かい,PM12:50に裁判所前への現地集合の形をとりました。裁判所では,前回の模擬裁判でお世話になった弁護士の皆さんの手引きにより,裁判所入り口で手荷物検査を受け,1025名のグループごとに本館・新館・別館に分かれ,PM1300過ぎより,いよいよ裁判傍聴に臨みました。

当日傍聴したのはすべて刑事裁判であり,「道路交通法違反・過失運転致死」「業務上横領」「麻薬取締法違反」などの判決,「覚せい剤取締法違反」「強盗致傷」「殺人未遂」などの公判審理を,生徒たちは傍聴しました。

「建造物侵入・住居侵入・窃盗」の罪に対して行われた公判では,10代後半~20代前半と思しき,まだあどけない表情をした青年が,判決を受けるために入廷した場面で,目の前で手錠と腰縄が外される様子を,生徒たちは息をのみ,緊張した面持ちで見つめていました。青年に懲役1年10カ月の実刑判決が下された後,「判決の後に裁判官が意見を述べるのは異例ではありますが ... 」という前置きの上,裁判官が被告人に対して,一人の人間として青年の今後の人生を案じ,努力を促す場面もありました。

以下,生徒たちが傍聴席で記録したワークシートより,感想を一部を紹介します。

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「裁判所はその人の人生に関わる大きな責任のある事なので,聞いていてとても興味深いことだと思いました。これからも他の事件についても少し考えてみたいと思いました。」

「法廷に入った途端,ものすごく厳粛な空気に変わって自然と気が引き締められました。本当に目の前で被告人の人生を大きく左右する事がされていてとても緊張しました。今までイメージしていた裁判のことが分かって勉強になりました。この裁判傍聴を通して,裁判のことをもっと詳しく知りたいと思いました。」

「手錠と腰縄よりもう少し見えないもので拘束することが,今の時代にはできると思う。あくまでも容疑であって,まだ罪人となっていない人への扱いにふさわしくないと少し思った。罪人という先入観を自然に持つきっかけとなってしまうかもしれないと感じた。」

「最後に見た裁判で裁判長の方に質問する機会があったときに「今までで後悔した判決はありますか。」という質問に「ありません。後悔しないように,自分の納得のいく判決をするのが私の仕事です。」と答えていたのが印象的でした。最後の弁護士の方に質問するときにもやりがいを持って仕事をしているというのが伝わって,私もどんな仕事をするにしてもやりがいを持ってしたいなと思いました。」

「裁判官に聞いたところ,罪悪感などは基本的にないけれども,後から「こうしてた方がよかったのかも」と思うことはあるらしいです。それを聞いて,人が犯した罪を人が裁くのは難しいことなんだろうなと思った。」

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 その他にも,「過失運転致死」の罪で,被害者の遺族も見守る中2年2カ月の実刑判決を受けた男性の妻が涙を流し,この後収監される夫の手を握り,別れを惜しむ判決公判を傍聴した生徒など,裁判というものが,改めて一人の人間の人生を大きく左右し,その後の人生にも多大な影響を及ぼしてゆくものであることを強く印象付けられ,人が人を裁くことの難しさを深く考えさせられたという意見も,多く聞かれました。

 裁判傍聴の後,PM3:15頃より,裁判所にほど近い場所にある「大阪弁護士会館」2階会議室で,中森弁護士の司会により,グループごとに傍聴の感想を述べあいました。今回のような実際の裁判傍聴を初めて体験したという生徒が殆どであり,自分たちがその日目の当たりにした裁判の感想を,興奮冷めやらぬ様子で語る生徒もいました。

また,模擬裁判,今回の裁判傍聴を通じて,改めて弁護士という仕事に興味を持ち,「弁護士になるにはどうすればいいのか」という質問をした生徒に対して,川崎弁護士が「弁護士はゴールではない,弁護士になって自分が何をしたいのかが大切」と答えられ,また太田弁護士が「被告人であっても人権はある。検察官は被告人の非を追求するが,私たち弁護士の仕事は被告人の良いところを捜してその人の罪を可能な限り軽くし,立ち直れるようにすること。被告人が世界中を敵に回すようなことがあっても,私たち弁護士は最後まで被告人の味方です」と,生徒たちに強く語りかけて下さったことが印象的でした。

 今回の裁判傍聴を受けて,今後は「世界の刑事裁判事情」「日本の刑事裁判における人権的課題」などをテーマに,グループワークやディベートを行っていく予定です。

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