入試トピック

~ただ寄り添うことだけでも「思いやり」~

本日は全校朝礼を行いました。本校は「(人の話を)きく」ことを基本に、子どもと子ども、子どもと教師の信頼関係を基盤とした安心して学べる学級づくりをめざしています。そこには、「相手を認める」「心を許す」などの「思いやり」の行為が大切だと考えています。だからこそ、友だちが悲しんだり苦しんだりしている時には、支え合うことができる関係であってほしいと思います。ただ寄り添ってあげるだけでもいいのです。様々な体験を一緒に過ごした仲間だからこそ、相手を思いやり、できることをすればよいのです。そんな思いを込めて、今日は話をしました。以下、子どもに話した内容です。

みなさん、「いじめ」や「仲間はずれ」ときいて、どんなことを思いますか。「絶対にしてはいけないことだ」と思いますよね。自分は、絶対にいじめや仲間はずれをすることはない。はつしばっ子はみんながそう思っていると先生は信じています。でも、もしも、みなさんの友だちが、誰かから仲間はずれにされていたり、いじめられたりしていたら、どうしますか。

いじめている子に向かって「いじめはやめなよ」といえる人も、この中にはいるでしょう。先生に相談したり、お父さんやお母さんに話をしたりすることはできるという人もいるでしょう。また、いじめられている友だちに声をかけて、元気づけることができる人もいるでしょう。これらのことは、とても大事なことで、校長先生はみなさんに是非そんな人になってほしいと思っています。

いじめられていると感じている人は、とても悲しい気持ちになっているのです。いつ、誰がそうなるかわからないことだと思っていてください。いじめられている友だちがそばにいるのに、何もしないで知らないふりをしている人が一番よくないと先生は思います。

しかし、知らないふりをしたくはないけれど、何をすればよいかわからないという人もいるでしょう。そのようなときは「思いやりの心」を持って行動してほしいと思います。たとえば、こんな人がいました。これから、その人が書いた作文を読みます。

「中1のとき、吹奏楽部で一緒だった友人に、だれも口をきかなくなったときがありました。いばっていた先輩が3年になったとたん、無視されたこともありました。突然のことで、わけがわかりませんでした。でも、さかなの世界と似ていました。たとえばメジナは海の中で仲良く群れて泳いでいます。ところが、せまい水槽に一緒に入れたら、1匹を仲間はずれにして攻撃し始めたのです。けがしてかわいそうで、僕は、そのさかなを別の水槽に入れました。すると残ったメジナはまた別の1匹をいじめ始めました。助け出しても、また次のいじめられっ子が出てきます。いじめっ子を水槽から出しても新たないじめっ子があらわれます。広い海の中ならこんなことはないのに、小さな世界に閉じこめると、なぜかいじめが始まるのです。同じ場所にすみ、同じエサを食べる、同じ仲間同士です。

中学時代のいじめも、小さな部活動の中でおきました。ぼくは、いじめる子たちに「なんで?」ときけませんでした。でも仲間はずれにされた子と、よくさかなつりに行きました。学校から離れて、海岸で一緒に糸をたれているだけで、その子はほっとした表情になっていました。話をきいてあげたり、励ましたりできなかったけれど、だれかが隣にいるだけで安心できたのかもしれません。ぼくは変わりものですが、大自然のなか、さかなに夢中になっていたらいやなことも忘れます。大切な友だちができる時期、小さなカゴの中でだれかをいじめたり、悩んでいたりしても楽しい思い出は残りません。もっともっと楽しいことがたくさんあるのにもったいないですよ。広い空の下、広い海へ出てみましょう。」

この作文を書いたのは、この人です。(さかなクンの写真)さかなクンは、実は大学の先生で魚に関することはとても詳しくて何でも知っている人です。テレビで見たことがあるという人もいるでしょうね。

さかなクンも、実は先に言ったようにいじめている人に直接「やめなよ」と言うことも、友だちを励ますこともできなかったそうです。でも、自分の得意なこと、魚釣りに誘うことで友だちのそばに寄り添ってあげることはできたのです。そのことが、友だちにとってどれほどの安心になったのか、わかりますよね。何もできないのではない、いじめられて悲しんでいる人のそばにいてあげるだけでもいいのです。たったそれだけでも、できることだと思います。自分にできる範囲のことでよいのです。友だちを守る「思いやりの心」を持ち続けてください。

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