藤田 真広さん

2016年度にはつしば学園小学校(現:利晶学園小学校)を卒業後、
大阪星光学院中学校・高等学校を経て東京大学医学部へと進学。
大学では放送研究会で代表を務め、同研究会が制作している番組のラジオパーソナリティとしても活動している。

東京大学医学部医学科に在学し、同大学の放送研究会代表を務める藤田真広さん。
小学校の体育大会の実況を担当し、「人に伝える楽しさ」に目覚め、
ラジオに興味を持ったそう。
将来の夢は、医師もしくはラジオパーソナリティ。
どちらも「人に寄り添う仕事」であることが魅力だと語っています。
そんな自らの可能性を広げ続ける藤田さんを支える、
小学校での学びについてお話を伺いました。

人前で話すことの楽しさを教えてくれた、小学校での経験

私は今、東京大学医学部で学びながら、大学の放送研究会の代表として活動しています。自分たちでラジオ番組の企画を立て、収録・編集を担当し、司会進行役を務めるパーソナリティにも挑戦しています。医学の道を志しつつ、ラジオパーソナリティへの夢にもチャレンジしている私の進路は、少し珍しいと思われるかもしれません。

しかし、この二つの道には「人に寄り添いたい」という共通した思いが根底にあります。振り返ってみると、その原点とも言える経験は、はつしば学園小学校での日々にありました。
はつ小では、人前で話す場面が多くありました。中でも特に印象に残っているのは、体育大会で実況を担当したことです。緊張しましたが、マイクを通して自分の言葉を使って競技の様子を伝えていくうちに、「人に伝える楽しさ」を感じることができました。この経験が、ラジオというメディアに興味を持つきっかけとなりました。
さらに、班で調べ学習をして発表したり、「夏休みにしたこと」というテーマで一人ずつスピーチしたりするなど、人前で話す機会が多くありました。当時はまだ学校から一人ひとりにタブレットが提供されるのは珍しい時代でしたが、支給されたタブレットでパワーポイントを駆使し、作成した資料を基に発表していました。初めのうちはうまくできるか不安でしたが、繰り返すうちに次第に慣れ、いつの間にか人前で話すことが好きになっていました。
この「人前でたくさん発表した経験」と「人に伝える楽しさ」を与えてくれた小学校での経験は、現在ラジオパーソナリティとして放送研究会の活動をしている私の大きな原動力になっています。

「レインボー活動」で育まれたリーダーシップを生かす

また、はつ小には、1年生から6年生が縦割りで一緒に活動する「レインボー」という制度がありました。その中でも特に思い出に残っているのは「レインボー遠足」です。この遠足は、地図が配られ、先生が立っているチェックポイントに行ってポイントを獲得し、得点を競うレクリエーション形式になっていました。

1〜6年生が一つの班になって行動し、上級生は下級生を引率する役割を担います。私はリーダーを任され、行動計画を立てたり、当日は下級生をまとめたりしました。リーダーとしての役割をきちんと果たすことができるのかと不安でしたが、持ち前の大きな声も活かして、上手く下級生を引率することができました。この経験は、私にとって大きな自信につながりました。
卒業式の時には、レインボーの授業で関わった下級生たちからメッセージカードをもらいました。このカードは、今でも大事にしています。お世話をしてきた下級生たちからの温かい気持ちを受け取った時、レインボー活動のリーダーを頑張ってよかったと、何物にも代え難い充実感を味わいました。「人に寄り添いたい」という気持ちがさらに強くなった瞬間でした。
そしてこの経験は、放送研究会で代表を務める上で役立っています。私たちの放送研究会は、各自のペースで自由に活動できるのが魅力です。ただ、学園祭に向けて一丸となって動く際には皆をまとめるリーダーが必要。私は代表として積極的にアイデアを出し、仲間たちの意見も尊重しながら企画を進めました。小学校時代に培ったリーダーシップは、今の私の礎になっていると感じています。

挑戦を続けられるのは、小学校での学びがあるから

私は医学部に進学していますが、実は学部の選択についてかなり悩みました。小学2年生のときに見た金環日食をきっかけに天文学に興味を持ち、一時はその道に進もうと考えていたためです。しかし最終的に医学部を選んだのは、「人に寄り添う仕事がしたい」という思いがあったからです。

一方で、その思いはラジオパーソナリティとしての夢にもつながっています。私は、一人で受験勉強をしている時や、寂しさで眠れない夜にラジオを聞いて、誰かにそっと寄り添ってもらえているような安心感を覚えていました。そして、いつしか自分もそんな時間を届けることができたら、と思うようになりました。リスナーの声に耳を傾け、思いを言葉にして届ける。これは、医師として患者さんの不安に寄り添うことと共通する部分が多いと考えています。医師免許を持っているからこそ、リスナーの悩みにより深く寄り添える場面があるかもしれません。また、ラジオパーソナリティの経験を通じて得た「伝える力」は、医師として患者さんと向き合う際にも役立つはずです。私にとって医学部への進学は、ゴールではなく一つの通過点です。医師になることはもちろん、ラジオパーソナリティへの道も険しいものだとは思いますが、今はどちらの道も諦めずに自分の可能性を広げていきたいと思っています。
現在の私の基盤となっている「伝える力」「リーダーシップ力」「人に寄り添う気持ち」は、はつ小での学びから得たもので、私にとって大切な財産となっています。将来どちらの道を選ぶとしても、ずっと私の支えになるはずです。これからも挑戦を続けながら、自分の可能性をさらに広げて、後悔のない人生を歩んでいきたいと思います。

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